はじめに
宅建士試験の合格には過去問の活用が欠かせません。しかし、ただ問題を解くだけでは十分な効果を得られません。特に「何となく正解できた」問題をそのままにしておくと、本番で似たような問題が出た際に確信を持って答えられない可能性があります。
この記事では、過去問演習の際に 「すべての選択肢の正誤を根拠を持って判断する」 ことの重要性について解説します。また、正誤判定に迷った問題や、二択に絞ったけれど勘で正解した問題の扱い方についても詳しく説明します。
1. 過去問を解く目的を明確にしよう
過去問演習の目的は 「宅建士試験の出題傾向を把握し、正確な知識を定着させること」 です。よくある誤解として、「とにかく正解数を増やす」ことを目標にしてしまうケースがあります。しかし、問題演習は単なる得点稼ぎではなく、知識の穴を見つけ、弱点を克服するための手段 です。
そのため、以下のような姿勢で過去問に取り組むことが重要です。
- 正解した問題でも、すべての選択肢について正誤の根拠を説明できるか確認する
- 一つでも正誤判定に迷った問題は復習対象にする
- 「何となく正解」「勘で正解した」問題も復習する
2. すべての選択肢の正誤を根拠を持って判断する
宅建士試験では、「正しいものを選ぶ」「誤っているものを選ぶ」といった問題形式が多く出題されます。このとき、単に正解の選択肢を見つけるのではなく、すべての選択肢について正誤の根拠を持って判断する ことが大切です。
なぜすべての選択肢をチェックするべきなのか?
- 知識の確認ができる
正解の選択肢だけを見て終わってしまうと、他の選択肢に関する知識が不十分なままになってしまいます。 - 類似問題への対応力がつく
宅建士試験では、同じテーマの問題が少し形を変えて出題されることがよくあります。すべての選択肢の正誤を確認することで、類似問題への対応力が向上します。 - 本番での選択肢の見極めがスムーズになる
実際の試験では、一つひとつの選択肢をじっくり検討する時間は限られています。過去問演習で正誤の見極め力を鍛えておけば、本番で素早く正解を導き出せるようになります。
3. 「曖昧な正解」は復習対象にする
迷った問題は「復習すべき問題」
問題を解いていると、「AとBのどちらかまでは絞れたけど、最後は勘で選んだ」というケースがよくあります。このような場合、たとえ正解したとしても 「理解して解けた」とは言えない ため、復習が必要です。
また、「この選択肢、たぶん○○だった気がする…」という 曖昧な記憶に頼って正解した場合 も、復習対象としましょう。本番では似たような問題が出たときに確信を持って答えられない可能性が高いためです。
具体的な復習のやり方
- 正解した問題でも、迷った選択肢について「なぜ間違いなのか」を説明できるようにする
- 勘で正解した問題は「もう一度同じ問題を出されたら、自信を持って正解できるか?」を考える
- 正誤の根拠が曖昧だった選択肢をメモし、改めて理解を深める
4. 効果的な復習方法
(1) 「なぜ間違えたのか」を分析する
間違えた問題に対して、「どこで間違えたのか?」を明確にすることが大切です。
- 知識不足 → 該当箇所をテキストで確認
- 記憶が曖昧 → 繰り返し復習する
(2) 間違えた問題を「解き直しリスト」に入れる
過去問演習の際には、「自信を持って正解できなかった問題」をリストアップし、後日もう一度解くことで知識を定着させましょう。
例えば、1月10日に解いた問題のうち、問題15で誤答した場合、その理由を「権利関係の判例を誤解していた」と記録します。その後、復習の際に同じ問題を解き直し、正しく理解できたかを確認します。再挑戦の結果も記録し、「正解できた」「まだ曖昧」などの評価を付けると、次の復習計画が立てやすくなります。
このように、「いつ、どの問題で、どんなミスをしたのか」を具体的に記録しておくことで、同じ間違いを繰り返すのを防ぎ、効率的な学習につなげることができます。
(3) 間違えた選択肢を「正しく言い換える」
例えば、以下のように間違えた選択肢を自分なりに言い換えてみると、理解が深まります。
誤りの選択肢:
「売買契約の際、手付解除は売主側からのみ行うことができる」
正しい理解:
「手付解除は売主・買主の双方が行うことができる(民法557条)」
こうすることで、単なる暗記ではなく、実際に使える知識として定着させることができます。
5. 本番で確実に点を取るために
宅建士試験では、1点の違いが合否を分けることがあります。そのため、以下のポイントを意識して過去問演習を行いましょう。
- 正解した問題も、すべての選択肢の正誤をチェックする
- 曖昧な正解を「できた」と思い込まない
- 復習リストを作成し、定期的に解き直す
- 間違えた選択肢を「正しい知識」に言い換える
まとめ
過去問演習では、「何となく正解できた」問題をそのままにせず、正確な知識として身につけることが重要です。「解けた」ではなく、「理解した」状態を目指すことで、確実に合格へと近づきます。
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