宅建士資格試験では、契約の流れが頻出テーマです。契約の基本的な流れを理解することは、試験対策だけでなく実務でも大いに役立ちます。この記事では、契約が成立して効力を発生するまでの流れを、具体例を交えてわかりやすく解説します!
契約の基本とは?
契約とは、2人以上の当事者が合意することで法律上の効力を生じさせる行為のことです。例えば、不動産の売買契約では「売り手」と「買い手」が「この土地を○○円で売買する」と合意することで契約が成立します。
契約が成立するためには、以下のような条件を満たす必要があります。
契約が成立するまでの流れ
契約成立の流れは、次の3つのステップで進みます。
1. 申し込みと承諾
契約は、「申し込み」と「承諾」という意思表示の一致によって成立します。
• 申し込み:契約を締結したいという提案(例:「この土地を500万円で買いたい」)。
• 承諾:その提案に対する同意(例:「その金額で売ります」)。
ポイントは、両者が同じ内容で合意していること。この意思表示の一致がなければ、契約は成立しません。
2. 契約の当事者に関わる有効性の確認
契約が成立しても、それだけで法的に有効になるわけではありません。契約が有効であるためには、以下の3つの能力が求められます。
①権利能力
権利能力とは「法律上の権利や義務を持つことができる能力」のことです。普通の成人や法人は権利能力を持っていますが、胎児の場合など、条件付きで権利が認められるケースもあります。
②意思能力
意思能力とは「自分の行為の意味や結果を理解できる能力」のことです。意思能力のないものがした法律行為は無効です。
また、意思の不存在(心裡留保、虚偽表示)傷のある意思表示(錯誤、詐欺、強迫)は無効、取消になります。
③行為能力
行為能力とは「法律行為を単独で有効に行える能力」のことです。未成年者や成年被後見人は、原則として単独で契約を行うことができません。ただし、親など保護者の同意があれば有効になります。
これらの能力を欠いている場合、契約は取り消し可能となります。
3. 契約内容の有効性の確認
契約の内容が法的に有効であるためには、次の要件を満たす必要があります。
1.確定性
契約内容が具体的で曖昧ではないこと。
例:確定性がない場合とある場合
確定性がない:
「土地を売る契約」
→ どの土地を、いくらで売るのかが不明確で、確定性がありません。
確定性がある:
「東京都港区○○町の土地(200㎡)を5,000万円で売る契約」
→ 土地の場所や面積、価格が具体的で、確定性があります
2.公序良俗違反、違法性のある行為を促す行為ではないこと
契約内容が法律に違反していないこと。
例 : 公序良俗違反、違法性のある行為を促す場合
「違法薬物を販売する契約」や「暴力行為を依頼する契約」
→ これらは法律に違反しており、契約そのものが無効です。
契約成立後の流れ:効力の発生
次に契約が成立した後、その効力が発生するまでの流れも重要です。
効果帰属要件(代理行為)
契約の効果が誰に帰属するかを確認します。たとえば、代理人が契約を行った場合、その効果が本人に帰属するかがポイントになります。代理権がない場合、その契約は無効または取り消される可能性があります。(無権代理、表見代理の問題)
効力発生要件
条件や期限が設定されている場合、その条件や期限が満たされることで契約の効力が発生します。
これらを満たして契約の効力が発生します。
宅建士試験で狙われやすいポイント
宅建士試験では、以下のポイントが出題されやすいです。
- 申し込みと承諾の意思表示の一致
- 未成年者や成年被後見人の行為能力に関するルール
- 契約内容の有効性(確定性、適法性、社会的妥当性)
- 代理権の有無とその効果帰属
- 条件や期限付き契約に関する効力発生要件
これらをしっかり理解することで、試験で得点を確実に取ることができます。
まとめ
契約成立と効力発生までの流れを簡単にまとめると、以下の通りです。
- 申し込みと承諾による意思表示の一致。
- 意思能力・制限行為能力者の確認。
- 公序良俗違反かどうかの確認。
- 効果は本人に帰属するのか?
これらを押さえることで、宅建士試験の契約問題を攻略できます。試験対策としてだけでなく、実務でも非常に役立つ知識なので、ぜひ深く理解してください!
これを基礎に、宅建士試験の過去問や模擬試験を解くことで実践力をつけましょう!